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The raw truth/Lynx
今年最も型破りな一枚 "聴こえがいい上辺だけのドラム&ベースはたくさんある。そうやってどんどん次ののものが出て来る。その繰り返し。" "自分にとってのいい音楽は、毎日の気づきの中にあると思う。" "このアルバムには、作りたかった全部が詰まってる。" ポリティカルなスタイルのMC Kemoとコラボレーションした最新のアルバム、The Raw Truthについてそう語るLynx。一時的な流行の性質や、使い捨て本質の現代的ダンスミュージックについてのトピックが、アーティスト名と共に会話中に飛び交う。独特かつ奇才的な彼の最新作の中で戦っていくと決めた一種のトレンドがそこにはある。15曲中、たったの4曲がインストゥルメンタルという割合は、ボーカルでの表現力よりも、固定されたテクニックを評価されやすい傾向にあるドラム&ベースというジャンルの中では、稀な数字だろう。 |
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"普通のドラム&ベースとはちょっと違う。" Kemoとの作品をLynxはそう認める。半ラップ&半トーク・スタイルのポリティカル評論だけに限らず、至って型破りな鋭いプロダクションや、意味深に埋め込まれた隙き間と奇妙なオーケストラ・サンプル達も合い重なり、周囲からの高い評価は止むことがない。
"ドラム&ベースに対する見識を変えるアルバム" とThe Raw Truthのリリース元、Soul:RのオーナーであるMarcus Intalexは話す。 "ヒップ・ホップ、ドラム&ベース、R&B、ダブステップ、ありとあらゆるジャンルになり得る素質のあるアルバム。それが何なのかというと、結局はそのうちのどれでもないけど、その全部でもある。ドラム&ベースの本質である個性的なサウンド"、とMarcus Intalex。 "ポリティカルなアングルはKemoからのもの"、とLynxは説明する。"そのアングルが、そういうエッジを含んだ音作りのきっかけになってる。特にヘビーでハードなサウンドっていう訳でもないけど、そこには暗さや根底に含まれた怒りが確かにある。Kemoとじゃなきゃ作れないものだと思う。以前は、そう理解していても、本気で感情のはけ口にしてる訳じゃなかった。でも、今はKemoの書く歌詞の意味をきちんと捉えて、それを音楽で翻訳してる感じがするよ。" ユニークなサウンドを作りは重要なことと言う。 "結構難しいことだけど、みんなが努力してることだと思う。レイブで耳にする音楽に感化されることはすごく簡単。ほとんどのドラム&ベースのシーンにそういう動きが見える気がするよ。天文学者が書いた一節で、音楽にも言えると思った一言を何日か前に見つけたんだ。 『人間はみんなアンティロープ(カモシカ)の群れの様なもの。こっちの方向が正しいと思って移動してても、リーダーが反対方向に向かうと、みんなそっちに移動し始める。』 ミュージシャンも同じ。みんなやましい。何か変わったものを聴くと、'新しい音だ!これをやろう!'ってみんなが飛びつく。僕はただ、そういう流れから逸れたくて新規開拓を続けてる、ただそれだけ。" ドラム&ベースの多くのカジュアルなリスナー達は、フォーマットがありきたりだと訴える。そして、一部のかぶれたヘッズは、ジャンルに限界があると話す。別のサウンドを開拓しようと、様々なスタイルの音楽で実験を重ねながらも、結局はドラム&ベースに帰って来た。全ては、そんなパズル形式のシーンにいながらも、Lynx自身がドラム&ベースに忠実にいた結果である。 "好き&嫌いの関係"とLynx。"フラストレーションがたまりやすいにしても、ドラム&ベースの中に音楽的な影響を受けた大きなスコープみたいなものを見つけることが出来るんだ。それに、自分は一つのタイプの音楽をやる人間じゃないし。Disco Dodo' みたいなクラブっぽいのや、そういう意図で作ってないにせよ、Kemoとのディープなトラック、'Global Enemies' なんかも生まれてる。それもこれも、みんな音楽に対する柔軟さから来てると思うよ。これは、1993年にジャングルサウンドのハードコアな進化過程にいたあの頃から来てる。レコードを買い集めてたあの時は、初期のMoving Shadowに影響されっぱなしだったんだ。" "クラブで威力を発揮する曲って、家でかけることってあんまりないから。" それを、'ハードでヘビーなクラブミュージックに取り憑かれること'、とLynxは言う。 "16歳くらいの頃なら、レイブでハードな曲ばっかりを聴きたいに決まってる。でも、それじゃいらいらさせるだけだから、少なくともバランスはあった方がいい。その方が家でだって聴けるしね。クラブで威力を発揮する曲って、家でかけることってあんまりないから。" "DJミュージーックのほとんどがそうなのは確か"、と続ける。"DJにとって、クラブでプレイすることは、自分達がベストDJだってオーディエンスから予想されて当たり前。それだけでかなりのプレッシャーだよ。Andy Cの様なミキシングをみんながやっちゃうから、そうしてくれるだろうって、当たり前に期待される。僕は普段そう感じない様にしてるけど、それでもちょっとはそう感じる自分がいるのは確か。" ライブ中は、セットのムードを変えることをLynxは望む。 "コントラストでダイナミックな感じにしたいんだ。10で始まるセットの10で終わるより、5で始まってから10まで上がって、また1まで下げるっていうスタイルがいい。例えミニマルで続くビッグクラブチューンのポイントであっても、ダイナミックさを造り上げていく感じが好きなんだ。" これは、Lynxがダンスフロアを魅了したことがない、といった意味ではない。'Disco Dodo'は、2007年No.1のドラム&ベース・スマッシュヒットであり、テクノ・サウンドを丸裸にした感染的なリズムとオーディエンス間では情報が飛び交い、DJ達の間では、ミックスが簡単でフレキシブルと高く評判にもなった。フルスペクトルでクラブの頂点に立つ様な頂点的なサウンドを避け、'現代のドラム&ベースの常識の一環を破った'、との評価もある。 "曲を作った日は、急いでたのかどうかはよくわからないけど、バイブに没頭してたのは事実"、とLynx。"深夜に始めて、朝5時に終わらせた。次の日も、起きてから3時間以内にミックスダウンして、24時間以内には仕上げてた。出来上がったのを聴いた時は、'こんなの誰が聴きたいと思うのかな?'って思ったよ。'みんな気に入らないんじゃないか?'って。'こりゃ思い切ったことしたな'と、思ったよ。" "ビッグチューンだけど、かなりポジティブ"、と続く。"ディープなドラム&ベース好きにはちょっぴり物足りないかもしれないけど、自分は妥協しなかったし、ドラム&ベースのヒット曲を書いてるとも思わなかったから、それは関係なかった。" "Disco Dodo"の成功を語るLynxを見ていると、市場に出回るのを恐れているのがわかる。生粋のアンダーグラウンド全盛期初期の頃のドラム&ベースに影響されたプロデューサーなら、そう期待されるのは承知の上。ここ数年で何名かのアーティストが残した実績(コマーシャル化されたシーンの核)を見れば尚のこと。大きな成功が、現在のドラム&ベースをRadio1のレギュラー・ミュージックにさせた、オーストラリアのPendulumの例がわかりやすいだろう。 しかし、LynxはPendulumの後を追っている様には見えない。彼の音楽がそこまで追いついてない、といっているのではなく、それよりはむしろ、彼の持つアプローチの全てが、そのメインストリームから孤立しているだけ、といった方がわかりやすいかもしれない。"自分の欲求は全部そこから来てると思う"、と彼は言う。彼の独創性は、アーティスト性と同じ位置付けにある。3年間ロンドンに住んでいるが、過去には、シーンがそれほど盛んでないUK南部のPortsmouth(ポーツマウス)という街に住んでいた。その前は、 Chichester(チチェスター)に住んでおり、そこにもまた、大きなシーンは存在しなかったという。 "隠居タウンみたいな場所だったんだ。まわりで起きてることや、他のみんなが何をやってるかとか、外の世界に対する意識から、一切シャットアウトされてたことが返って良かったかも"、とLynx。 そうとはいえ、Lynxが外部とのコラボレーションを楽しんでいないという訳ではない。長期に渡って、Kemoとの実りの多いリレーションシップを築き上げて来ている事実はある。 "Myspaceで連絡を取り合って来たよ。Kemoは当時ドイツにいたから、こっちから曲を送って、彼が向こうで詩を付けて送り返してくれて、っていう具合に一緒に曲を作ってた。彼のボーカルは、曲が仕上がった後で付けられたものじゃないんだ。大体は、彼のボーカルの周りに曲を付けて仕上げたっていう感じなんだ。" "Global Enemies"、"Carnivale"、他3曲を一緒に作った後で、LynxとKemoは初めて顔を合わせた。'実際に顔を合わせる前と後では、活動スタイルに違いは出た?'と聞くと、"音が少し変わって来たと思う。最初はただかまってるだけって感じだった。実際、方向性なんてあんまり深くは考えてなかったけど、段々とディープになってきた気がするよ"とLynx。 "ネット上で人と活動したり会話したりって、あんまりリアルじゃないよね"、とLynxはつぶやく。"不思議な世界。みんな毎日使ってて、それ無しじゃなんだか気が抜けた様になる。でも、やっぱり直接的な人間関係が一番いいに決まってるよね。なかなか会えなくても、ネットを通して曲を送り合ってるプロデューサーやDJ仲間はいるよ。滅多に会えない友達とのコンタクトは、かなり核心をつくからね。" その距離感を嘆く一方でまた、未来の可能性に胸を踊らされるともいう。その有望なコラボレーション案は、レーベル、Chinese-whispersの様だと説明され、年末に開始された彼自身のレーベルで、次のプロジェクト、Detail Recordingsにも関連付けられる。 "ただ、レコードを刷り上げるだけのレーベルじゃなくて、何かこう、みんなが参加出来る、コラボレーションタイプのレーベルにしたいんだ。曲を作ったり、展開していく様な感じの、いわば'参加型レーベル'。今の音楽シーンを見てても、何か斬新なものが必要だってわかるし、色んなミュージシャンとコラボレーション出来るなんて、考えるだけで興奮するよ。まずは、ウェブサイトに曲をアップするところから始めていこうと思ってる。数曲を3〜4人で作っていく様な感じ。もし50人くらいで作れたら、もっと面白くなるよね。自分が大好きな、A&Ringみたいに出来たらいいな。" "結果と一緒で、アプローチだって大切。最初は、あまり大人数で活動せずに、5人くらいにしかリンクは渡さないでおこうと思ってるんだ。その5人ってのは、自分と近い存在の人達... 例えばKemoとか。もし彼が乗り気ならってことが大前提だけどね。後は、Alix PerezやCommix、dBridgeにMarcus Intalex、Calibreとかかな。みんながどんどんはまってってくれたら面白いね。まずは、5〜6曲を出せるといいなと思ってる。 "Drum & bass is often an emotionless kind of music." "ドラム&ベースは感情の薄い音楽" Lynxが、偏見なく新しいことに挑戦したいのは明らかだ。彼の音楽的関心は実に広く、様々なスタイルがある。 "ドラム&ベース以外だと、最近は、Flying Lotus、Burial、Bjork、MGMT、MIA、Basement Jaxxが好き。Prodigyはヒーロだね。Trip-Hopだと、LeftfieldやMassive Attackが好き。Bugz in the Atticもそう。彼らのことはよく知らないけど、アルバムはすごく楽しみにしてるんだ。" 小粒子に反発する本能がLynxにはある。これは、彼のお気に入りのアルバム、Prodigyの'Fat of the Land'からも伺える。 "自分のやってることとは随分違うけど、彼らはある種の壁を取り払ったと思う。アルバムを聴くとしっかりして聴こえるけど、自分にとってはかなり斬新なものだった。アコースティック系にも興味があるよ。Jose Gonzalezとか、そっち系のアーティストにはいつも羨ましさを感じるね。だって、ドラム&ベースのほとんどが感情の薄い音楽だから。あっちの世界は全く別世界で、素晴らしいと思うよ。" -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- ★Lynxによるドラム&ベース革新者達★ |
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