INTERVIEW

LYNX & KEMO
とにかく細かく気を配るLynxとKemo。古いしきたりに反発する、ドラム&ベース界の血統者達、Alix Perez、Instra:Mental、D Bridge、Marcus Intalexらと共に表現し、由緒あるサウンドのパレットや音作りから感性をうまく引き出す。
Fabioはそれを、"エレクトロニックの奇才児"と呼ぶ。
バラエティ溢れるボーカリストとの共同作、Soul:Rからリリースされたアルバム、‘The Raw Truth’はDrum and Bass Arena Awardsのベストアルバム部門にも名を連ねた。
Q: テイストメーカー&Soul:rの大御所、Marcus Intalexの元でアルバムを制作した感想は?他のレーベルからのリリースを考えたことはある?

Lynx: Soul:rは自分達のサウンドに一切影響しなかったから、その点ではパーフェクト。ドラム&ベースの頂点に到達しようとか、そういう努力はしたことがないけど、それでも、このアルバムにとってSoul:rはぴったりのはけ口だと思う。Mistical以外で、このレーベルからリリースした初めてのアーティストとして、自分にとって、本当の意味での成功だと思ってるよ。

Kemo: Soul:rは、ドラム&ベース界の中では質が高くて、パイオニアサウンドとしても重要な位置にある、シーンの中で一番尊敬出来るレーベルだと思ってる。そういう意味では、自分達のアルバムに合ったレーベルはここ以外にないんじゃないかな。壁を打ち破ったCommixのアルバムや、D-Bridge/InstramentalのNon Plusでの活動なんかで証明されてるMetalheadzも同じレベルに値すると思うよ。Alix PerezのアルバムをShogunでぜひ聴きたいね。今まで聴いて来てるものは、ディープでバラエティに富んでて素晴らしいと思う。ドラム&ベース以外だと、Ninja TuneやXLで自分達の音はチェック出来るよ。MarcusとLee(Soul:R)はいつもフルにバックアップしてくれたよ。ボーカルものとそうじゃない曲との間のバランスをうまく取ってくれるし、彼らには、質のいいサウンドを選ぶことに対してのサポート経験がたくさんあるから、作業の流れがどういう方向に行こうが、きちんとまとめてくれた。まるで、緩んでる紐の結び目を締める様な感じでね。
LYNX + KEMO
"The Raw TRUTH"

http://www.myspace.com.evocators

Q:シーンのプロデューサー陣は、典型的なブレイクビート枠のサンプルでやるよりは、ミニマリズムを含むデーィプでエレクトロニックな感性を引き出す様に、決まりきったやり方でドラム&ベース・サウンドを仕上げてる様に見えるけど、そんな流れをどう思う?

L: いいと思うよ。ここ何年も、ドラム&ベースを書くのに、ある程度決まったやり方があるとは思ってる。特に、サンプルパレットを使う場合。今は、曲に入れる音の要素に広い視点があると思う。典型的なサンプルを使用するのも少なくなってきたし、それが使われなくなってきて、他のものと組み合わせることが多くなってきてると思う。音の創作性が更に可能になってきた感じ。でも、ドラム&ベースのプロデューサー陣は、アンティロープ(カモシカ)の群れも同然。みんなが同じ方向に歩いてても、リーダーが向きを変えた途端、みんなそっちに移動し始めるんだ。

K: それもありだと思う。ドラム&ベースには色んな様相があるしアピールもある。僕は従わないけどね。個人的に言えば、ドラム&ベースのイージーさや早さ、ハードさ、うるささみたいなあの固定したスタイルっていうのは、とっくにどこかに行ってしまった。実際の所、今はほとんどのプロデューサーが、決まりきったやり方から離れて、初期の良き時代思い出させる様な、ディープで実験的な音を取り戻して来てることはいいことだと思うし、それがもっといいサウンドを生み出して行くと思ってる。シーンに進展を感じるし、誇りさえ覚えるよ。


Q:そういう移行は、小さなイベントや資金のかかった大きなレイヴとか、いわば、こっち側と対抗する様な現在のシーンの中に見られる2重構造をたくさん含んでると思う?

K: そうじゃなきゃいいけど。今までプレイしてきた、ミックスしたスタイルやDJが1時間以上もまわすパーティっていうのは、みんなにとっては過ごしやすいけど、6時間以上も同じ音なんて聴いてられないよね。だから、個人的にはダブステップとドラム&ベースを混ぜたものがスマートだと思う。

L: 言ってみれば、15年前に流行ったジャンルと似てて、感じとしてはポジティブ。いまだに大きなレイヴが満員御礼ってことは、みんなが行きたいってことだよね。パーティは人の繋がりを作るし、いい意味で、新しいDJが生まれる場でもあるから、そういう場ではどんどんプレイして行きたいよ。Disco dodo以外聴いたことのない人達には、違う感じでハマるもの聴かせてみたいな。
Q:現在のドラム&ベースの位置づけや、音楽業界全体の流れをどう思う?もし変えられるとしたら、どういう部分を変えたい?

L: もうちょっとリスペクトされるべきだと思う。みんな選択肢の多さに甘えてるよね。ソングライティングというアートに関心と感謝が足りない気がする。聴く側なり作る側なり、誰が一番早く流行のものをゲットするかだけに取り憑かれてる気がするよ。本質的に、音楽のフィジカルなフォーマットはほぼ死んでる様なものかも。今はデジタル時代で、無料で音楽が溢れ帰ってる。あれは一体誰の利益になるんだろう?もちろん聴く側だけだよね。でも、それって、本当に音楽を知ってることになるのかな?本当の勝ち組は、音楽を扱ってるウェブサイトだろうね。違法のダウンロードサイトのことだけを言ってるんじゃなくて、フォーラムベースのものとか、DJミックスを置いてるサイトもそう。あれって、ミュージシャン側に一銭の利益もないのに、広告をつければつける程、訪問者の数でどんどん稼げる。そこに置いてる音楽を作ってるミュージシャンだって、その分け前をもらう権利があると思わない?

K: まったくもってその通り。


Q:このアルバムを作るにあたって、コラボレーションにおける違いや、お互いの基本的な構想はあった?

L: そんなにはなかったけど、自分達のスタイルは、バンドがする様な、セッション的なやり方ではなかったかな。

K: まったくといっていいほどなかったね。アルバム作りを始めてから、数週間で7〜8曲を作ったけど、最初はドラム&ベースっぽいものは全然なかった。どちらかといえば、トリップ・ホップやダウンテンポな仕上がりのものばかり。アルバムに入れるものと、先に別リリースしていくものとに分けて、その後もっとドラム&ベースな音作りに集中して行ったんだ。最初は特に'これ'といったプランはなくて、ただ成るがままにまかせてた。'ここで終わり'っていうファイナルステージがあった訳じゃなくて、必要な曲だけを中心にうまくまとめ上げた感じだったかな。


Q:ライブはどんな感じになるの?DJだけじゃなくて、ライブをやりたい気持ちはある?

L: 自分達のギグは、DJというより、魅せる感じだと思う。やれば必ずいい感触がある。特に、自分達の音楽はアンセム系にならないからいいんだ。完全ライブをやれると嬉しいかな。このアルバムを作ったことで、ボーカル陣とパフォーマンスする連帯感が、ライブ的なムードを生み出してくれるし、プロダクションスタイルを確立させてくれてる気がするよ。

K: 何曲か似せて複雑に見せて行くんだ。Lynxは、The ProdigyやMIA、Bugz in the Atticのスペシャル・エディットで、色々なジャンルをミックスするんだよ。これは、彼自身がセットに打ち込むのと同じくらいの愛情を入力することだと思う。自分は、そこにフリースタイルなボーカルで彩りを与えながら、ちょっとだけヘルプをして、バックで支えてるんだ。それが自分達の音楽かな。広範囲なライブショーに興味があるんだ。といっても、全てプロモーター次第。最近、GlasgowのArchesでTaliとVaceoとやったよ。DRSを交えてやるセットはいつも上がるね。8月13日には、 Ministry of Soundでプレイすることになってるよ。
Q:このアルバムでは、ボーカルとのバランスをよく心得てる気がするけど、MC達との間で、前向きな意見のやりとりはあった?
K: 感情や気持ちを運ぶ手段は、人間の声以外にないから、気をつけた部分はたくさんあった。でも、正しいバランスは必要なんだ。特に、ダンス本意の音楽ではね。フル・ボーカルのトラックを作ることに、Lynxはすごく勇敢だったし、どれもこれもうまく出来上がってると思う。このアルバムでは、ボーカルとの間に息抜き出来る部分があって、音の間にもスペースがちゃんとある。それに、それぞれの曲が曲自体をCDの中でうまくまとめあってるんだ。自分達のDJミックスの構想にはもってこいだと思うよ。

http://www.bodytonicmusic.com/words/2009/jul/23/introducing-lynx-and-kemo

訳:myoume